【瀋陽=東慶一郎】新型コロナウイルスの肺炎患者が集中する中国・湖北省武漢市で、市中心部の巨大集合住宅地での集団感染が発生している可能性が指摘されている。1月半ばに開かれた地域住民による伝統の大宴会が、感染拡大に拍車をかけたとみられる。

 この集合住宅地は「百歩亭」と呼ばれ、敷地内に約18万人が住んでいるとされる。流行初期に感染者が集中していた「華南海鮮卸売市場」とは、約6キロ・メートルの距離だ。百歩亭は1月18日、4万世帯以上が料理を持ち寄って歓談する伝統行事「万家宴」の会場となった。

 18日時点で、中国全土に感染は広がっていなかったが、武漢市では死亡2人を含め、感染者は45人になっていた。武漢市政府は宴会の中止には踏み切らなかった。この場で、参加者の間に感染が広がり、さらに市内全域へ拡大したと指摘されている。

 中国誌・財新(電子版)などによると、百歩亭の中のある居住区では、マンション55棟のうち33棟で発熱患者が発生した。別の居住区では、4日までに少なくとも10人が新型肺炎と診断され、感染が疑わしい患者も30人に上る。地域の病院には発熱の症状を訴えて患者が列をなしているといい、ベッド不足で多くの住民は自宅待機となっていることから、実際の感染者はさらに多いとみられる。

 読売新聞の電話取材に応じた30歳代女性は、夫とともに1月24日頃から発熱症状が表れた。病院で肺炎と診断され、ウイルス検査の結果を待つ。2人とも宴会に参加していないが、「参加者から近所の私たちに伝染したとしか思えない」と不安を隠せない様子だった。

 住民らによると、市当局の指導下にある住民委員会が、発熱患者が出たマンション棟に「発熱棟」と書かれた赤紙を貼り、居住者は不要の外出が禁じられているという。

2020/02/08 07:24
https://www.yomiuri.co.jp/world/20200208-OYT1T50096/