• 「東の浅草・西の新開地」…戦前、戦後、神戸随一の繁華街として栄えた新開地
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  • 新開地に唯一残る簡易宿泊所「三和ホテル」を訪ねた
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  • 祖父の代から新開地で理容院を営む高四代さん(72)が語る
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異世界の入り口か 1泊1100円の宿泊所 扉の結束バンド切って入室すると…  「東の浅草・西の新開地」。

戦前、戦後、神戸随一の繁華街として栄えた新開地(神戸市兵庫区)。

仕事を求める労働者が全国から押し寄せ、まちには数多くの簡易宿泊所(通称・ドヤ)が並んだ。

にぎわいは三宮へと移り、バブル崩壊、阪神・淡路大震災、リーマンショックなど、平成に入り幾度となく襲いかかる苦難の中で、まちは“縮み”、労働者は姿を消した。

新開地に唯一残る簡易宿泊所「三和ホテル」を訪ねた。

(西竹唯太朗、杉山雅崇) ■アンコの足音で目が覚めた  ホテルに向かう前、にぎわいを見せていた頃の様子を地元の人に聞いてみた。

 「50年ほど前には“アンコ”が2、3千人おって、足音で目が覚めた」。

祖父の代から新開地で理容院を営む高四代さん(72)が語る。

高さんいわく、地元では、日雇い労働者のことをアンコと呼んだ。

かつては新開地南部に、手配師が日雇い労働者を集める「寄せ場」が数多くあり、100台を超すマイクロバスが市内外の工事現場に労働者を送り届けていた。

「労働者がいたおかげで、飲食店や娯楽施設ももうかった」。

■「一番安い部屋で」と言うと…  午前零時すぎ。

三和ホテルへ。

武骨なコンクリートの外壁が、街灯の明かりに浮かび上がり、さながら異世界への入り口のように見える。

急な階段を上ると2階に受け付けがあった。

 小窓の向こうでは従業員らしき壮年の男性が、いびきをたてて眠っている。

ベルを鳴らして、宿泊の目的を告げる。

「部屋は?」と尋ね返された。

小窓の上には料金表があった。

1泊1100円~2100円までの4種類。

1550円以上の部屋はテレビ付きだ。

 「一番安い部屋で」。

そう言って料金を払うと、部屋の鍵ではなく、はさみを手渡された。

「これは…」。

思わず聞くと、「これで部屋に入るんや」。

理解できないまま告げられた部屋に向かう。

裸の蛍光灯が怪しく照らす廊下は、迷路のように入り組み、無数に並ぶ扉にはそれぞれ部屋番号が記されている。

 ようやく目的の部屋にたどり着いた。

扉は外側に取り付けられた結束バンドで固定されていた。

「なるほど。このはさみを使うのか」。

バンドを切ると、薄い木の扉が「ギギッ」と音を立て開いた。

 1畳ほどの部屋には既に布団が敷かれていた。

窓もないのに、どこからか冷気が入ってくる。

毛布にくるまり、チクチクした感触を素肌に感じながら目を閉じた。

別部屋から聞こえるテレビ音が眠気を誘う。

早朝、誰かが廊下を歩く音で目を覚ました。

これから働きに出るのだろうか-。

■全盛期、50カ所のドヤがあった  後日、三和ホテルの経営者に会った。

栗山清志さん(66)。

開口一番「今は若い労働者なんておらんで」と言われた。

1959年に創業。

それ以前は栗山さんの祖父が、同じ土地でお好み焼き店と帽子店を営んでいたが、増えつつあった日雇い労働者に目をつけ、簡易宿泊所にしたという。

 70年代、新開地かいわいには50カ所ほどのドヤが並んだ。

三和ホテルの部屋数は138で、このまちで3番目の規模だったという。

「常に労働者で満室だった」と栗山さんは振り返る。

 順調だった経営に陰りが見え始めたのは2000年代に入ったころ。

不況で日雇い仕事の募集がなくなり、労働者も消えていった。

さらに08年のリーマンショックが追い打ちをかけた。

 現在、ホテルの宿泊者は1日平均約12人。

10人は常時滞在している高齢者という。

「息子が宿泊代を持ってくることもある。身内のいざこざで同居できなくなったのかね」と栗山さん。

 従業員は栗山さんも含めて2人。

最盛期には8人ほどいたが、不況に伴い数を減らした。

 「しんどいだけでもうからない。辞めたいけど…。今も泊まっているお年寄りもいるしなあ」  そう言って掃除に向かう栗山さんの背中に哀愁が漂っていた。

三和ホテルの受け付け。

宿泊費は30年以上据え置きという=神戸市兵庫区新開地5 1畳の部屋。

睡眠を取る目的なら十分な広さ=神戸市兵庫区新開地5 1959年に創業した簡易宿泊所「三和ホテル」。

外観は当時から変わっていない=神戸市兵庫区新開地5 2020/2/24 05:30神戸新聞NEXT
元スレ:2ch.sc

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